第1章

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「楓っ!」 ホームルームが終わり、それぞれ帰り支度を始める中。 真っ先に教室を出ようとした背中に、迷わず声をかけた。 立ち止まる背中。 わ、本当に背が高くなってる。 私の頭二つくらい上だ。 すっかり制服のブレザーが似合っている、普通の高校生。 その背中は私の声に動きを止め、その場でゆっくり振り返った。 眼鏡の奥の色素の薄い目が、私を捉えた。 ドキドキドキ なにも考えず、思わず声をかけてしまったけど。 よく考えたら7年ぶりって。 もしかして私のこと、忘れてるかも? いやいやいや、でも私には一発で楓のこと分かったし。 あ、でも男の子だから? 女の子の方が変わるっていうし… でも化粧だってしてないし、髪型だってずっとこの長さだし。 顔も変わらないってよく言われるし。 わからないわけないよね。 一気に色んなことが頭を巡る中、ゆっくりと楓が口を開いた。 「ーー俺、紫苑だけど。 久しぶり。矢吹さん。」
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