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「じゃ。」
「あっ!」
床に視線を落としていた私の前で、立ち去ろうとする紫苑に、思わず声を上げた。
紫苑が無表情で振り返る。
「帰るの?」
「うん。」
「部活は?見てかないの?」
これからの時間。
どの部活も新入生向けに体験入部を行っている。
私もこれから気になる部活を見に行こうとしていたところだった。
「部活は、入らない。」
「そっか…。」
そう言いつつ、たしかに紫苑が何かの部活に入るとしても、どんな部活に入るのか想像がつかなかった。
体育会系ってよりは、文化系?
でも音楽系ではないだろうし…
うーーん。
文学部とか?
って、この学校、文学部なんてあったっけ。
「じゃあね。」
そうこうしているうちに、今度こそ紫苑は前を向いて行ってしまった。
「バイバーイ。」
私の声だけが、虚しく廊下に響く。
なんかイマイチペースがつかめない…。私たち、こんなだったっけ?
まあ、クラスメートだし。
明日からも変わらず会えるんだもんね。
ぼちぼち慣れて行けばいっか。
そう思って、私はまた自分の席へと戻った。
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