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「ふぅ……。」
すっかり遅くなってしまった。
合唱部、軽音部、吹奏楽部、管弦楽部をウロウロしたあげく、吹奏楽部の先輩に捕まえられ、次々と楽器体験の嵐。
結局その場で吹奏楽部への入部が決定してしまった。
…まあ、中学も吹部だったし。
なんとなくこうなるとは分かってたけど。
でも一番忙しい部活になるとは…。
週5かぁ…。
入部届けに名前を書き終わったちょうどその時、先輩に告げられた驚異的な数字を思い出す。
毎日じゃん…。
普通に完全下校時刻間際の下校となってしまった。
沙也香ちゃんも同じ吹部になったけど、彼女はチャリ通だから、私は1人で帰っている。
周りには部活終わりの生徒たち。
まだ慣れない通学路を、考え事をしながらふらふらと歩いた。
…にしても。
強烈だったなぁ。紫苑との再会。
まあ、初めに私が楓と間違えちゃったのが、まずったよなぁ…。
なんとなく機嫌が悪いのもそのせいかもしれない。
でも、私が声かけても、ちっとも驚いた風じゃなかったな。
ーー「ーー俺、紫苑だけど。
久しぶり、矢吹さん。」ーー
ってことは、私が同じクラスってこと、最初っから気づいてたのか?
……なのに声一つ掛けず帰ろうとするなんて…。
やっぱり薄情だ。
紫苑にとって、私ってそんなもんだったのかな。
私は紫苑に会えて、結構嬉しかったのに。
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