第1章

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* 「ふぅ……。」 すっかり遅くなってしまった。 合唱部、軽音部、吹奏楽部、管弦楽部をウロウロしたあげく、吹奏楽部の先輩に捕まえられ、次々と楽器体験の嵐。 結局その場で吹奏楽部への入部が決定してしまった。 …まあ、中学も吹部だったし。 なんとなくこうなるとは分かってたけど。 でも一番忙しい部活になるとは…。 週5かぁ…。 入部届けに名前を書き終わったちょうどその時、先輩に告げられた驚異的な数字を思い出す。 毎日じゃん…。 普通に完全下校時刻間際の下校となってしまった。 沙也香ちゃんも同じ吹部になったけど、彼女はチャリ通だから、私は1人で帰っている。 周りには部活終わりの生徒たち。 まだ慣れない通学路を、考え事をしながらふらふらと歩いた。 …にしても。 強烈だったなぁ。紫苑との再会。 まあ、初めに私が楓と間違えちゃったのが、まずったよなぁ…。 なんとなく機嫌が悪いのもそのせいかもしれない。 でも、私が声かけても、ちっとも驚いた風じゃなかったな。 ーー「ーー俺、紫苑だけど。 久しぶり、矢吹さん。」ーー ってことは、私が同じクラスってこと、最初っから気づいてたのか? ……なのに声一つ掛けず帰ろうとするなんて…。 やっぱり薄情だ。 紫苑にとって、私ってそんなもんだったのかな。 私は紫苑に会えて、結構嬉しかったのに。
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