第1章

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改札へと歩きながら、途中エスカレーター横の鏡で自分の姿をふと目の端にいれる。 へへっ、新しい制服。 特別可愛いってわけじゃないけど、やっぱり新しい制服はテンションがあがる。 これからベストなスカートの長さと自分なりの着こなしを研究しなくっちゃ。 ふふ。 まぁ校則違反にならない程度に、ね。 まだ制服に着られてる感じのあるその姿を横目に流しながら、改札をでた。 「ねーねー、君今帰り?」 ーーっと。 なに? 突然自分の足元の視界、右端に自転車の前輪とコンバースのスニーカーが飛び込んでくる。 男の人の足。 これは、もしや…… ナンパ!? てか、地元の駅で?? うわーっ、女子高生って、本当にナンパされるんだー。 …って、それよりも。 慣れなすぎて顔があげられないよ~! どうすればいいの? とりあえず、無視? なけなしの知識を総動員して、視線を自分の足元に向けたまま、ずいずいと突き進む。 「ねーねー、君ってば。」 う…、しつこい。 声をかけて来た彼は、チチチチ…とチェーンの音を鳴らしながら、自転車を押してピッタリ私の真横についてくる。 ある程度無視すれば諦めてどっかいくと思うんだけどな… 「ねー、おねーさん?」 「……。」 「おーい、無視?」 「……。」 「ゆーずーちゃんってば。」 「なっ……!」 突然自分の名前を呼ばれ、思わず顔を上げた。
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