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【Lvアップ!Lv.30になりました】
軽快なSEとともにこのようなログが現れる。先程まで黄色い躯体の大きなトカゲのような、アシッドドラゴンの胸に突き立てていた剣を鞘にしまい、青年はログをフリックで消した。
(ふぅ、ようやくLv.30か。これでやっと☆5昇格クエストが受けられるな)
内心興奮を抑えられずに、軽い足取りで街へ戻るためのワープポータルへ向かった。
彼のHN(ハンドルネーム。ネット上で名乗る名前)はユゥテン。現実世界での名前が友典だからユゥテン。
もうわかると思うが、ここは現実世界ではない。ここは「イグザナドゥ」の世界。そう、近年まことしやかに囁かれる都市伝説の世界だ。
「イグザナドゥ」とは単なる神隠しではない。そこはリアルの世界のようで全く違うゲームとしてのルールの世界だ。
この世界はプレイヤーを求めている。世界にプレイヤーとして認められたもの達には、世界への入り口が与えられる。
ここに招待されたもの達はみな最初は不安や戸惑いを覚えながら、好奇心に駆られこの世界へ足を踏み入れるが、暫くするとみなこの世界を気に入り、最悪この世界に居を構えるものまで現れるようになった。
これが神隠し都市伝説「イグザナドゥ」の真相だ。
実際のところ、現実世界に帰ろうと思えば帰れるのだが、現実世界よりも楽しく暮らせるこの世界から出たがるものは学生か普通の社会人などぐらいだろう。
さて、このユゥテンのアバター(この世界におけるルックス)について説明を入れておこう。
深緑色の髪は跳ねており、後ろで髷風に縛っている。武士のようなそれではなくどちらかと言えば流浪人に近いのだろうか。
目は髪と同じく深緑。顔立ちは少し鼻が高いが和風である。
背丈は165強、男としては少々小柄だろうか?日本人としては普通だとは思うが。
現在の装備は西洋風の軽量の鎧。初期の頃から使っていたものを入手した素材で強化しつつ、ここまできたのである。
職種はウォーリア。前衛を任され、斬り込み隊長となることが多い。その特性からか、1人でこのようにクエストに行くことも容易であるため、初心者向けとも言えるし、玄人にも愛される職種である。
そんな彼だが、ポータルに入る前に、メッセージBOXに着信があるのに気づき、メッセージを開いた。
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