魔物使いの魔物図鑑

第1章～選ばれしもの～

「うん、理解したよ。それで、これで終わり？」

「あらやだ、先程の私のセリフ、聞いてましたの？「まず」と言いましたわ。他にもありますの。

PS(パッシブスキル)として《アナリシス》《チアー》《クロスキュア》が無条件で使えますわ」

PS。パッシブスキルはASと逆。AtA(行動力)を消費して発動する特殊能力。

「《アナリシス(分析)》は名前のままですわ。対象となるものの情報を分析して知ることができますの。
《チアー(応援)》も分かりますわね？パーティのユニットを選択的または非選択的にステータス強化ができますわ。どのユニットにどのようなステータス強化をかけるかは貴方の采配に関わりますの。でも、自分のステータスによって強化の度合いが変わりますので、自分のステータスもきちんと上げておかないといけませんわよ？当然ですわね。
そして《クロスキュア》これは凄いですわよ？なんと、傷ついた防具の耐久値を回復させてあげることができますの！」

その情報は、予想外で耳を疑った。なぜならば、この世界の防具はダメージを軽減するかわりに自身の耐久値を消耗してゆく。消耗した耐久値は店か専用のアイテムを使って直すのだが、結構なコストがかかる。防具を生産などする際にある、コスト維持効率というパラメータが低い防具は、いわゆる、一回あたりの修復費と耐久値の比率の問題で、コスパが悪いといえばいい。

このスキルの真価は、コスパが悪いが性能の高い防具を無料で直せる、いわゆる「バランス崩壊」を起こすスキルであると言える。

「まぁ、とりあえずはこれくらいですわね。わからない点はありますでしょうか？」

「いいや、大丈夫だよ。ありがとうエリダ」

「では続けますわね。次に、制約ですわね」

制約と聞いて身構えた。これだけの特典を無償で使えるなんて甘い考えだったということか、何を要求されるのか、と。

「1つ、週に3日以上のログイン。ログイン日数は、各日午前4時から翌3時59分までの間に合計1時間以上のプレイもしくは一つ以上のクエスト参加で1日と数えますわ。
そしてもう一つは、週に3つ以上の☆5以上のランクのクエストをクリアすることですわ。3回ではなく3つですわよ。って、どうしましたの？顔色が悪いですわよ？」

言われたとおり、顔を青くして口もとを引きつらせているユゥテンは、恐々と口を開いた。