第1章~選ばれしもの~

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「あの・・・、僕、今さっきLv.30になったばかりで、まだ☆4ランクなんですけど・・・」 「あら大変、じゃあ、急いで☆5ランクに昇格してノルマクリアしないといけませんわね?」 「うん、あと、先に役所で魔盲申請しないと」 「あら、貴方魔盲でしたの?こんなんで主人公権限が持つのでしょうかね?」 ウフフと笑うエリダだが、なかなか笑えない状況ではある。 魔盲とは、魔力を持たない人である。 このゲームは、それぞれのプレイヤーのステータス初期値は完全にランダムだ。最初から攻撃力が高い人がいれば、素早さばかり高い人もいる。そんななかでも魔力というステータスは、個人個人で使える属性すら違ってくるのだ。 しかし、このゲームの良いところは、最初がどんなステータスでも、後の努力でいくらでもステータスを増やせるということだ。 しかし、ここに例外がある。最初からステータスが0の項目は、どんなにがんばってもステータスが増えることはない。 「大丈夫だよ。今日はもともと魔盲申請するつもりだったし」 若干拗ね気味に答えたのは魔盲だということは自分でも負い目を感じていたせいだ。 魔盲申請とは、魔力を持たないプレイヤーはLv.30を超えると、役所で申請し、審査を通ることで、魔法の代替手段となる何かしらのギフトを受け取ることが出来るシステムだ。 「ふふっ、心配なさらいでください。プレイヤーの選別は完全にランダムですけど、そのプレイヤーについて、何も事前準備もなく押しつけたりはしませんわ」 そう言って彼女が(体内から?)取り出したのは、何かの種のような宝石がついたペンダントだった。 「貴方が主人公権限に選ばれた際に、同時に魔盲申請を受けてないとして、魔盲申請を自動的に受理させていただきましたわ。 これは貴方のための貴方だけの特殊なアイテム。名前は「サクリファイスシード」ですわ。どんな効果があるかは私知りませんの。 貴方の手で、実際に触れて確かめてくださらない?」 「あ・・・ありがとう」 ユゥテンは恐る恐る、ペンダントを首にかけた。
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