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「お兄ちゃん、くすぐったい……」
さらに撫でる。
呼吸をするのと一緒に撫でる。
そして……過呼吸になる。
「隅谷君はもう変態を通り越して変質者ですよね」
「え?」
撫でる手を止め、呼吸を整える。
暗子ちゃんの一言が心にザクリと突き刺さった。
僕は例え変態であっても変質者ではないと思っている。それは今の今までそうだった。しかし、身近にいる友達いや、好きな人に変質者呼ばわりされたらもう僕は変質者であると納得せざるを得ない。
「ご、ごめん。ちょっと冗談が過ぎた……よくよく考えたら見知らぬ女の子の頭を撫で回したら駄目だよね……本当にごめんね、姫ちゃん」
自重を覚えた僕は冷静にその場の状況を判断する。
「ん? お兄ちゃんどうしたの?」
姫ちゃんは僕が謝る理由を分かっていない様子。悪い男の人に騙されないか不安になるな。
「全く……後もう少しで隅谷君を嫌いになる所でしたよ」
口調から怒っている様子が感じ取られるが、その顔は太陽のように眩しい笑顔を浮かべていた。
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