妹、拾いました

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気の毒だけど君は親に見捨てられたんだ、とは当然のように言えない訳で。   こんなにも無垢で可愛い女の子を悲しませたくはない。でもここで嘘を吐いても女の子にとって良い事ではない。 「大丈夫だよ」   考え込んでいた僕にふと声が聞こえた。   暗子ちゃんである。何も答えない僕を助けるように呟いた一言だ。 「きっと……お母さん見つかるよ。ねぇ、今からお姉ちゃん達と一緒にお母さんを探しましょうか?」   見つかる訳がない。何一つ根拠はないが確証があった。 「うん!」   でも、僕達が諦めてしまったら、この女の子は何一つの希望も無しに悲しみの世界で生きていかなければならない。   事実この場において暗子ちゃんの言葉は正しかった。でもそれは逆に絶望を与えた時のショックが大きくなるだけなんじゃないかと思えた。   一抹の不安を抱える中、僕は暗子ちゃんと共にどこにいるのか分からない姫ちゃんのお母さんを探す事となった。   姫ちゃんの右手を取った僕と左手を取った暗子ちゃん。 「あぁ、これ家族みたいで良いね。今日も妻は可愛いな」 「さすが変態隅谷君、妄想が過ぎますね」   と言った暗子ちゃんは満更でもない表情を浮かべていた。そこで僕は一つ提案する。
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