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「ちょっとお兄ちゃん分からないな~」
適当にそこらへんを歩いていたら知った道に着くだろう。
「ふ~ん。そうなんだぁ~」
欠伸をする女の子はまだ少し寝ぼけている様子で自分の置かれている状況にまだ気づかない。
「で、僕の名前は隅谷明人って言うんだけど、お兄ちゃんと呼んでくれ、いや、呼んで下さい」
頭を下げる事に何の躊躇もしない僕はその場で呼んで下さいと土下座。勿論、周囲に誰もいない事を確認してからだが。
「? お兄ちゃん?」
僕の行動の意味を理解していない女の子は再び首を傾げる。
「はぁはぁ」
妹が出来たみたいである。いや、この子はもう僕の妹だ。誰にも渡さないぞ。いや、この子は捨て子だ。施設にでも預けるのが。いや、待てよ。この子の所有権は今現在僕にあると言っても過言ではないんじゃないか?
段々僕の息が荒くなってきているのは多分気のせいである。
目の前に佇む女の子は真ん丸お目目ちゃんをパチクリさせながら不思議そうに僕を見つめていた。
目を合わせたら僕、興奮して死ぬんじゃないかな?
自身の嬉死の危機を悟った僕は女の子を直視出来なかった。
「……はぁはぁ……ところで君、名前はなんて言うの?」
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