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「え~っと、ね。姫は姫って言うの」
姫ちゃんか。まさしく一国の姫のように輝いているな。僕には眩しすぎて直視出来ないや。
「姫ちゃんは可愛いね」
直ぐに施設に捨て子として預けなければいけないのだが僕としてはここで手放してしまうのが惜しい。
結論として今日一日姫ちゃんと遊ぶ事にした僕は取り敢えず姫ちゃんの髪を優しく撫でた。アホ毛の立っている茶髪ショートカットは撫で心地が良い。
なんという事だろうか。撫でられた女の子は嫌がる様子もなく目を瞑って頭を差し出してくるではないか。よしとばかりに僕は撫で続ける。
ごく自然的に女の子の髪を撫でる事に成功した僕はその場で小さくガッツポーズ。
「ありがとーなのー」
知らない人に髪の毛を撫でられたら感謝しちゃいけないよ、と言いたいのだが、僕はもう知らない人じゃない。僕は姫ちゃんの義理のお兄さんだ。つまり一日署長ならぬ一日お兄さんだ。
「本当に姫ちゃんはかわ」
「あれ? 隅谷君じゃないですか。こんな所で何をしているのですか?」
ふと、背後から見知った人の声が聞こえた。
撫でていた手が止まり、冷や汗が額から首筋を蔦って地に落ちる。
おい、待てよ。まさか……。
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