第1章 出会い

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この男は現東京連盟長、亜人時音(あひとときお)。 二十三歳にして連盟長となり、五国のうちの一つ、『東京連盟』を統治している。 卓上にある番号を押していくと、目の前に大きな画面が現れた。 「もしもし、アレン?」 そう呼ぶと、相手はすぐに返事を返した。 そしてその瞬間、画面には相手の顔が映った。 「やぁ、亜人。連絡してくれって伝わったみたいだね」 この男は現ワシントン連盟長、アレン=スミス。 亜人と同じく二十三歳という若さで連盟長となった。 こちらは書いてあるとおり、『ワシントン連盟』を統治している。 「あぁ、さっきな。暇だったから今返した」 「暇なんて言うと国民に怒られるよ」 「そうかもな」 ニヤけながらそう言った。 しかしそのあとは真面目な顔になり、アレンに質問する。 「んで、何の用だ?」 「あ、そうそう。進化生命体についてなんだけど……」 進化生命体とは、隕石衝突や放射線などの影響により、姿形、能力面での進化を遂げた動物のことである。 「新しい生命体が見つかった」 「へぇ、どんなの?」 すると画面が切り替わり、それが映し出される。 「…………これは……」 「うん。ちょっと厄介なんだよ」 そこに映っていたのは、ゴリラだった。 しかし、画面の端には、普通のそれを遥かに凌駕した情報が載せられていた。 ”身長 推定4m” ”体重 推定500kg” と表示されていた。 「推定って、少しオーバーに書かれるんだよな」 「うん。それでもこれは異常だよ」 「うーん。ゴリラのパンチかなんかは三トンって聞いたことあるけど、こいつはもっとだろうな~」 「そんなこと考えてる場合じゃないよ。とりあえず、これを大陸全土に公表したい」 「なるほどね。他の連中には?」 「もう伝えてあるし、OKももらった」 「ま、当然か。俺もいいぜ、さっさと公表して、注意喚起だ」 「うん、そうだね」 そう言うと、画面は消えた。 「新たなゴリラねぇ……」 そう言うと、亜人は一人ニヤついた。
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