第1章 出会い

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亜人にアレンから連絡が入る一時間前。 ワシントン連盟東区域のある街にて その道路の真ん中にいたのは、体長四メートルもありそうなゴリラだった。 住民達は避難訓練のときのようにすぐ逃げ、被害は最小限にできている。 しかしそれでも、壊されたビルなどがあり、修復には時間がかかりそうであった。 その中で、一人声を張り上げ、指示をしているものがいた。 この者は、ワシントン連盟東区域防衛隊、攻撃隊長ビル=ブラウン。 「第一、第二、第三砲撃隊!砲撃準備!」 彼がそう言うと、前にいた戦車『ハーベル』は、150mm砲の標準を目の前のゴリラに合わせた。 「準備完了です!」 戦車から顔を出していたそれぞれのメンバーが言った。 「よし!撃てーーー!!」 その怒号にも似た合図とともに、三台の戦車砲からは、それぞれ一弾ずつの弾が放たれた。 ハーベル専用弾、マキシム。 口径150mm砲から放たれるそれは、飛躍した科学技術によって、硬さ、重さを最大限良くしたものである。 放たれたそのマキシム三弾は見事ゴリラへと命中し、爆風を起こした。 風が止み、落ち着いた後、特別隊員が死亡確認を行う。 もし生きていた場合、この特別隊員がとどめを刺すか、十分息があれば、少しの足止めを行う。 確認が終わり、隊長ビルのものに駆け寄る。 「報告します!攻撃対象、進化型ゴリラ、通称No.1265の死亡を確認しました!」 そう言うと、隊長ビルは硬い表情を変えず頷き、 「よし!皆、よくやった。今回の奴に関しては、おそらく新種だろう。基地に戻り次第、東区域統括長への報告を行う。新種のため、奴に関しては回収する。いいな!」 そう終わると、全隊員から「はっ!」と声が挙げられ、すぐさま作業に取りかかった。 戦車攻撃部隊は、簡単に戦車の確認をした後、撤収。 歩兵部隊は避難住民への説明を終え次第撤収。 回収部隊は、死体の回収が終わり次第撤収。 そして、最後に隊長自ら現場の確認を行う。 それが、この大陸防衛隊の一連の流れだった。 そしてこの後、新種の報告が迅速に行われ、東京連盟長亜人や他の連盟長の元に伝わることになる。
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