5人が本棚に入れています
本棚に追加
少しすると黒猫の言う通りに、前方から5人余りのいかにも荒くれ者と思わしき人物達が此方に向かって来た。
隠れたり逃げたりする事もせずにダキシとシンは、下手に動かず真っ正面から迎え撃とうと武器を構え直すと女性陣の前に立った。
???「こんな所でアオゲンビンデのダキシさんに出会えるとはな」
ダキシ「俺は会いたくなかったけどな」
???「おいおい…闘う気はねぇから武器をしまってくれよ」
先頭を歩く人物がダキシに気付くと、馴れ馴れしく声を掛けてきた。
両手を上に挙げて争う気は無いと言われ、一応は剣を鞘に収めるもダキシは柄から手を離す事をせずに目の前の男達を警戒する様に見た。
ダキシ「ムエド…お前らはこの島に何しに来てんだ?」
ムエド「お~っと幾らアンタでも教えられ…おっ!! 随分綺麗な方々を連れてるじゃないですかぁ」
ダキシの質問には答えられないと戯けてた目を向けた瞬間、今気付いたかのようにムエドはダキシの後ろに隠れて様子を見る女性陣を下品な眼差しで舐め回す様に見た。
ダキシ「言っとくが、仲間に手を出したら容赦なく殺るからな!?」
ムエド「!! ………」
ダキシ「げっ!!」
シン「あぁ…彼のスイッチ押しちゃいましたねぇ」
仲間を守る為とダキシはムエドを睨み付けながら凄みのある声を上げると、先程までいやらしい笑みを浮かべていたムエドの表情はうっとりとした表情に変わった。
ムエド「あぁ…やっぱりダキシさんのその鋭い眼差し…素敵だぁ…その素敵な眼差しが俺に向けられてる…頼む!! いや、頼みます!! 俺の心をその眼差しで射ぬいて殺ってくれぇ!!」
ダキシ「キモいは!! アキ!! コイツはお前担当だろ!? どうにかしろぉ!!」
黒猫「ニャ!! 何するんだよ!! 嫌だよ!! アタシコイツ苦手!!」
突然豹変したムエドにダキシは全身に鳥肌が立つのを覚えると、柚梨の後ろに隠れる様に居た黒猫の首根っこを掴みムエドの前に差し出した。
ムエド「アキ様も居たんですかぁ!? 何と言う運命!! やはり俺とアキ様は結ばれる…」
黒猫「近寄るな!! そんな運命要らん!! お前なんて嫌いだ!! マジ来るな!! 変態ぃぃ!!」
ムエド「あぁ…アキ様のその罵声…何時聞いても最高だぁ…俺をもっと罵ってくれぇ!!」
黒猫「嫌だぁ!! もう良いよね!? 逃げるからね!!」
シン「ククク…良いよ」
余りの恐怖からなのか黒猫は急いで呪文を唱えると、来た時同様に光の膜が一同を包んだ瞬間その場から姿を消した。
遠くの方から「アキ様ぁぁ」と悲痛な声を上げるムエドの声を聞こえないフリをして…。
最初のコメントを投稿しよう!