第六章 本当に貴女は何なの? <前半>

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産まれて直ぐにアタシは両親から引き離され、村の奥に有る洞穴に閉じ込められたらしい。昔の事過ぎて覚えてないや。気が付いたらアタシは洞穴に居たから。 閉じ込められてた…って言っても特に不自由は無かったかな? 其処に居ると、何かお腹も空かなかったんだよね。不思議な事に。だけど、アタシに死なれるのを恐れたのか毎日一日一回村の人が食事を届けに来てたっけ。 でも、食事を運んでくれる人は何時も何処か怯えた様子でビクビクしてたなぁ…。 1度だけ話し掛けた事が有るけど、悲鳴をあげて逃げられちゃった。余程アタシが怖いらしい。 アタシは何もしないよ? 何で皆そんなに恐ろしい者を見る目でアタシを見るの? でも、1度だけ怯えずにアタシに声を掛けて来た人が居たなぁ。凄く優しい笑顔をした女の人。 その人が全てを教えてくれた。 何故アタシが閉じ込められてるのかを。 閉じ込められた理由は…アタシが大昔に禁忌を犯して生まれた祖先の先祖返りだから、その人と同じ様に閉じ込めたんだって。 そう言うと、その人はアタシを格子越しだけど抱き締めてずっと泣きながら「御免なさい」を繰り返してた。 どうして泣くの? アタシは何も怒ってないよ? でも、その人は後から来た村の人に連れてかれた。泣き叫んで嫌がるその人はそれから二度と来る事は無かった。 後から知った事だけど、その人がアタシのお母さんだったみたい。 その時以外アタシに話し掛ける人は居なかったな。 幾つもの朝を迎え、幾つもの夜を越えた。 その内誰も来なくなって、たった独りで過ごす毎日をアタシはただただ繰り返した。 アタシは常に一人だった。夢の中でさえも。 大切なモノが無いアタシの夢には何も無くて、真っ白な空間だけだった。勿論夢に誰かが出てくるって事も無かった。そりゃそうかな?だってアタシには誰も居ないんだから。 だけどある時、一人の少女が迷い込んできた。今まで誰一人として存在した事の無いアタシだけの空間に…。 今思えば、きっと心の何処かで一人は嫌だって弱い心が引き寄せたんだと思う。 そして、その少女がアタシの人生を変えた…。
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