Cold Blood ～コールド･ブラッド

陽気なその者――

そうそう、アンタの免許は何処までだい？

ほう、大型所持か。ならやはり、リッターオーバーに一度は乗りたいもんだよな。

えっ？　そのつもりで来たと。そりゃ嬉しいね、毎度どうも。

リッターオーバーを考えてるとして、アンタはどんなのが好みだい？

ネイキッド、アメリカン、やはりスーパースポーツ辺りか。

……なるほど、アメリカン希望か。アンタもやはり、国産よりハーレーって口かい？

そりゃそうだよなぁ。アメリカンに乗るなら、一度はハーレーってのがロマンってなもんよ。俺も個人的にハーレー乗りだから、その気持ちは全力で分かるぜ。

アンタが希望なら、リーズナブルに仕上げる事も――おっ！　それ、気になるかい？

中々、目の付け所があるね。そう、それはハーレーの『FXDLローライダー』。とっくに絶版になってるから、これだけのタマはそうそうお目にかかれないな。

……幾らかと？　気に入ったかい？　でもダメダメ。よく言われるが、これは売り物じゃないんだ。例え億積まれても、譲れないんだなこれが。

そう、これは云わば俺の――兄の形見みたいなものだから……。

――ってな訳で、これ以外だったら何でも好きなのを――って、うん？　その兄の話？

まあ、よくある事故ってやつよ。珍しくとも何ともない。