陽気なその者――

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話を少し逸らすが、アンタは狂座という組織、その最も足る特徴は何だと思う? 暗殺とかの殺人請負じゃねぇぞ。そんなもん、裏の世界には掃いて捨てる程あるしな。 そう、殺人は単なる手段。狂座が唯一無二なのは――『異能』という力を行使する組織だという事。 異能、人在らざる力。簡単に言うと、超能力って事よ。昔流行ったスプーン曲げも、それに近い。まあ、あれは殆どがインチキで、本物でも大した能力でもない。 正確にはサイコキネシスというが、まあどうでもいいか。つまり狂座に属する者は、皆が皆という訳でもないが、特に執行部門はほぼ例外無く、この異能という力を持っていた。 一言で異能力といってもピンからキリ。そして決定的に、ある境目で別けられている。 それが『与えられたもの』か、『最初からもっているもの』の二つだ。 極論言うと、異能力の殆どが前者だ。詳しい原理は知らねえが、狂座には常人が異能力を使えるようにする設備があったらしい。 異能とは脳に作用する。そこを弄るらしい。これで即席の異能者が、カップラーメンのように完成って訳よ。 まあ即席っつても、だれでも使いこなせる程、安っぽい力でもねえ。訓練次第では、限りなくオリジナルに近付く事も可能だし、何より異能には馬鹿みたいに制約も多い。 常識では考えられない現象を可能とするからな。脳に多大な情報を認識させるもんだから、使い道を誤ると廃人の危険性と常に隣り合わせだしで、現実でもそうだが美味しい話には裏があるって事よ。 だからこそ、狂座は裏の世界で常に最強だった。そりゃそうだ、反則みたいなもんだよなぁ、わははは――。
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