プロローグ

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毛根を失った俺は、何を考えたかブレイクダンスやムーンウォークをやり始めた。猛獣が徘徊する森の中で一人で半狂乱になりながら踊り続けた。 挙句の果てには毛根を失った頭でひたすらヘッドスピンをやり始めた。ハゲの歌を歌いながら、ひたすら、回り続けた。 涙や鼻水をまき散らしながら、学校のグラウンドに設置されてる回転式スプリンクラーのように回った。 だがここは異世界。魔法と剣の世界だ。当然それだけ騒いでいれば、魔物が寄ってくる訳で、俺は魔物達に餌として認識された。 勿論俺はそんな事に気づくわけでも無く、気狂いの如く回った。 魔物達が近づく間も、回る。徐々に回転の速度が早くなる。 魔物がそれでも近づく、俺は更に回転の速度が増した。 その回転は辺りの塵芥を、草木を巻き込みながら、風を纏っていく。 異様な光景に少しクールになりかけた俺は止まろうとした。魔物達もその異様な光景に逃げ出そうとしていた。 だが、車は急に止まれないように、逃げ出すのも止まろうとしたのも遅すぎた。 俺のヘッドスピンは、その場にいた魔物達、草木、土、川、全てを巻き込む大きな竜巻へと変わったのだ。 俺が回転してから数十分後、漸く回転が弱まり自身の意思で止めることが出来たが、その光景を見た時俺は絶句した。 確かここは森だった。木々が、草が生い茂っていた。 だが、その森は姿を消していた。 代わりに残っていたのは地面が抉れ、バラバラになった木の残骸、身体があちこち変な方向に曲げながら息絶えた魔物だった。 嘘だと思うだろ?俺がヘッドスピンしただけでこうなったんだぜ?
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