945人が本棚に入れています
本棚に追加
「おー……」
と振り向いた坂崎は、その目に私を認めると、嬉しくて堪らないという風に目を細める。
「初めて見た、紺野のすっぴん」
「……あんまりまじまじと見ないでくれる?」
「どうして? 化粧しててもしてなくても、紺野そんなに変わんないじゃん。
それに……」
何? と私は首を傾げた。
「今は俺だけでしょ?
紺野のすっぴんを見られる男って」
その言葉にまたしてもかあっと顔が赤くなる。
「ななな何言ってんのっ!?」
坂崎ってこんな奴だったっけ?
放つ言葉は一々甘さを含んでいて、このままじゃ私、心臓がもたない。
「俺もシャワー浴びてくるから、適当に座ってて。
はい、これ」
そう言って冷たいミネラルウォーターを渡された。
私はそのまま、リヒングのカーペットにぺたんと座り、坂崎を待つことにした。
最初のコメントを投稿しよう!