不器用な大人の恋は実るのか

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今日一日で色んなことがありすぎて頭がついていかない。 私はぐるりと坂崎の部屋を見回した。 よく言えば、シンプル。 男の人の部屋ってこんなものなのかな? ホント物が少ない。 目につくのは、ぎゅうぎゅうに本が詰まった本棚と、リビングに鎮座する碁盤、……そして、部屋の隅っこにある大事にカバーが掛けられた天体望遠鏡。 坂崎、星も好きなのかな? 本棚には天文学や宇宙について書かれたとおぼしき本も数冊ある。 こんなに付き合いは長いのに、私はたぶん坂崎のことをほとんど知らない。 でも、そんなこと誰かを好きになるのに関係ないんだな。 そう一人でぼんやり考えていた。すると、 「紺野、お待たせ」 愛しい声が、私を思索の海から呼び戻す。
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