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はい、と坂崎から手渡されたのは甘い香りが立ち上るカフェオレだった。
……坂崎、家にいる時もカフェオレ飲むんだ。
坂崎が何か行動を起こす度、私は新たに坂崎を知る。
そんな些細なことにまで喜びを感じる自分がなんだかこそばゆい。
坂崎は私の隣に腰かけると、おもむろに話はじめた。
｢紺野は疑ってたみたいだけど、俺と沙耶香はもうなんの関係もないよ｣
｢……坂崎はそうかもしれないけど、安藤さんは？
坂崎にまだ未練があるように見えたけど、本当に違うの？｣
｢確かに紗耶香も誤解されても仕方ないような行動ばっかりしてたけど……｣
コトリ、と小さな音をたてて、坂崎はマグカップをテーブルに置いた。
｢あいつは俺を桜屋デパートに引き抜こうとしてたんだ｣
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