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安藤さんのお父さんの話になると、坂崎の表情が硬くなった。
「紗耶香の父親――桜屋の社長は俺と紗耶香の昔のこと知ってるから……。
紗耶香を差し向けたらうまくいくと思ったんだろうな。
元々は桜屋の服飾部門にいた紗耶香を食品に異動させたのも、たぶん社長だろう」
「……坂崎、どうするつもりなの?
その話、受けるつもり?」
話を聞けば聞くほど、不安になるのを止められない。
うちの会社だって、そこそこ名の知れた会社ではあるけれど、やっぱり桜屋デパートにはかなわない。
社長にまで話が通っているなら、坂崎が与えられる仕事も地位もきっと今よりも大きいはず。
坂崎は、遣り手だもの。
周りにはあまり見せようとしないけど、絶対に野心を隠し持っている。
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