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「でも……」
坂崎は私に回した腕にキュッと力を込める。
「俺、こうなったらもう離せないよ、紺野のこと。
覚悟してくれる?」
坂崎の肩に置いていた手を急に引かれて、二人の目線が同じ高さになった。
「やっぱり……このまま抱かせて、紺野。
8年分の想いを受け止めてもらうから」
坂崎の言葉に、私は息を飲んだ。
「は、はちねん?」
「そう、8年だよ。
我ながら、気が長いよなあー……」
少しずつ確かめるように、坂崎は私に触れていく。
さっきみたいな驚きや恥ずかしさは、不思議とどこかに消えていた。
だって、どこか切羽詰まっていたその言葉とは裏腹に、坂崎が私に触れる指先も唇もどこまでも優しい。
触れられた場所から、次々にお互いの想いが合わさっていくようで……
私はどこか安らかな気持ちで、すべてを坂崎に委ねた。
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