第5章

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   はぁ、と溜め息を吐いて項垂れた。 ここまで拒絶されると、心が折れそうになる。 だけど……。 また時期を見て、真央ちゃんに話しをするしかないよね。 「接待費の精算お願いします」 経理部に伝票を渡すと、担当の大城さんに露骨に嫌な顔をされてしまった。 大城さんとは、40代の小奇麗なパートのおばさんだ。 ちょっとツンとしたところはあっても、何も無いのにこんな態度を取るような人じゃない。 何か不備でもあったのかと、手渡した伝票を覗き込む。 「あの、領収書はここに」 「西森さんは、いつも美味しい物を食べれていいですね」 「えっ?……それは、どういう意味ですか?」 「……別に」 その場に立ち尽くすわたしを無視して、大城さんは別の伝票を手に取り仕事を始め出した。
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