第5章

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   「来てくれてありがとう」 真央ちゃんから伝わってくる威圧感に、緊張で声が裏返りそうだった。 「な、何か飲む?」 真央ちゃんはわたしと視線を合わせずに、「コーヒーお願いします」と店員さんに注文を済ませた。 「…………」 「…………」 しばらくしてコーヒーが運ばれてきた。 それでも、真央ちゃんはわたしをチラリとも見ない。 冷めてしまったコーヒーを一口飲み、フーッと小さく息を吐き出した。 呼び出したのは、わたしなのだ。 はっきり自分の気持ちを伝えなきゃ。 意を決して、口を開こうとしたときだった。 「西森さんって、商社に勤めてたんですよね?」
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