第5章

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   「え?そ、そうだけど?」 思い掛けない真央ちゃんの言葉に思考が固まってしまう。 それが、どうしたというのだろう。 真央ちゃんは、そんなわたしを見て、口元を歪めて小さく笑った。 「社長の知り合いの高谷さんって、西森さんの元上司なんですよね?」 「……そうよ……」 嫌な予感がして、顔が一瞬にして強張った。 真央ちゃんは、何を言うつもりなの? 「わたしの友人がその商社で働いているんです。 西森さんのことをいろいろ聞きました。 西森さんは、その上司だった高谷さんと不倫してたんですよね?」 「……っ」 「やっぱり、そうなんだ。西森さんが商社を辞めたあと、噂になってたらしいですよ」 何が面白いのか、真央ちゃんはクスクスと声を出して笑い出す。
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