第5章

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   一通り笑ったあと、真央ちゃんは表情を変えてキッとわたしを睨みつけた。 「本当、最低な人ですね。色仕掛けで誘惑するのが手なんですか?」 「真央ちゃん」 「西森さんの話を聞くつもりはありません。わたしがどう思っているかを伝えたかっただけですから」 真央ちゃんは伝票を手に立ち上がると、冷やかな視線でわたしを見下ろす。 「社長にプロポーズされたからって、いい気にならないでください」 そう捨て台詞を残して、真央ちゃんは喫茶店を出て行った。 真央ちゃんに高谷さんのことを知られてしまった。 もしかすると、他の女子社員にも……。 だから、皆わたしに冷たかったんだ。
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