第5章

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   あの時は、恋をした人が既婚者だっただけ。 そう思っていた。 既に別居中だった高谷さん。 もしかすると、離婚して普通の恋人になれるんじゃないかって、そんな淡い期待も抱いていた。 バカだった。 彼は離婚なんて望んでいなかったのに……。 今わたしは、身勝手な恋をした報いを受けているんだ。 きっと、そう。 「接待に同行出来ない?」 「はい。申し訳ありません」 社長が不満気にわたしを見上げる。 「体調でも悪いのか?」 「……はい」
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