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あの時は、恋をした人が既婚者だっただけ。
そう思っていた。
既に別居中だった高谷さん。
もしかすると、離婚して普通の恋人になれるんじゃないかって、そんな淡い期待も抱いていた。
バカだった。
彼は離婚なんて望んでいなかったのに……。
今わたしは、身勝手な恋をした報いを受けているんだ。
きっと、そう。
「接待に同行出来ない?」
「はい。申し訳ありません」
社長が不満気にわたしを見上げる。
「体調でも悪いのか?」
「……はい」
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