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社長には、わたしの噂話は耳に入っていないみたいだ。
それがせめてもの救い。
無駄な心配は掛けたくないから。
と言っても。
毎日の嫌味や聞こえてくる陰口は、覚悟をしていてもわたしの神経をすり減らしていった。
食欲は無くなり、夜もあまり眠れなくなってしまった。
社長は、こんなわたしをマリッジブルーだと勘違いをしているみたいだった。
「大丈夫か?」
「すみません」
「……夜、部屋に行くよ」
「わかりました」
嬉しいような嬉しくないような、複雑な気持ちだった。
優しくされたら、甘えてしまう。弱い自分が出てきて、泣いてしまいそうだった。
そうすれば、もう誤魔化せなくなる……。
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