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そんな顔をさせたいわけじゃない。
社長には、わたしのことを初めて好きだと言ってくれた頃のように、自信たっぷりに笑っていて欲しい。
「もし亜矢が、迷っているのなら、」
その続きを言わせないように、爪先立ちで社長の唇を塞ぐ。
心配しないで。
迷ってるわけじゃないの。
ただ、わたしの過去の過ちが社長の評判を落としてしまいそうで怖いだけ。
好きよ。大好き。
だから……。
「亜矢」
キスの合間に、社長がわたしの名前を呼ぶ。
「隠し事はしないでくれ……」
懇願にも似たその言葉に「はい」と小さく頷いた。
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