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「何かあると思ってはいたが……」
そう言って、社長が黙り込む。
会社の雰囲気が悪くなっていたことに、社長も気がついていたようだ。
……そうだよね。
気付かないわけがない。
「自分が蒔いた種ですから……」
「だからと言って、必要以上に亜矢を傷つけることは赦せない」
社長がギリッと唇を噛む。
わたしのことで社長に嫌な思いをさせている。
その事実が、申し訳なくて。
そして、少しでも安心させたくて、社長に笑顔を作ってみせる。
「わたしは、大丈夫」
「そう言って、亜矢はいつも無理をする」
社長がわたしの頭をクシャッと撫でる。
その掌の感覚が心地好くて、込み上げてくる感情を抑えるように目を閉じる。
だけど……。
やっぱりダメ。
「甘やかさないで……」
泣き顔を見せたくなくて、社長の胸に顔をギュッと押し付けた。
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