第5章

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   香坂君は、入社二年目の営業マン。 新卒だから、まだ24歳だけど……。 営業の中で一番仕事が早い。 ちょっと愛想がないけれど、頭の回転が速くてソツがなくて。 社長との相性は……。 うん。悪くないかも。 それに、同姓というのは少し安心かな。 もしかして、その辺も気を遣ってくれたの? ……社長。 引継ぎの準備だけは進めておかなくちゃね。 グラスをシンクに置いて、社長が眠っているベッドにそっと戻った。 「……ん、亜矢?」 社長が薄っすらと瞼を開ける。 「まだ、寝てて?」 「……今、何時?」 掠れた声で社長が言う。 帰って欲しくなくて、何も答えずに社長に身体を寄せた。
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