4432人が本棚に入れています
本棚に追加
指定されたレストランに香坂くんと一緒に向かう。
そのイタリアンレストランは、大通りから一本路地にはいったところにひっそりと佇んでいた。
レンガ造りの外観と可愛いあんこうの看板は、いかにも女性受けしそうだ。
……でも。
送別会にしては、ちょっと予算オーバーじゃないのかな?
普通の居酒屋でも良かったのに。
そんなことを考えながら、ポツリと呟く。
「……ここのオーナーは、社長の知り合いだったよね」
「そうなんですか」
「うん。確か……」
「西森さん、どうして会社辞めるんですか?」
思い掛けない言葉に、驚いて香坂くんを仰ぎ見る。
「……知らないの?」
「何をです?」
キョトンとした表情の香坂くんは、本当に何も知らないみたいだ。
最初のコメントを投稿しよう!