第5章

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      「まだ誰も来ていませんね」 「うん……」 送別会は七時から。 仕事を早めに切り上げた女子社員たちは、示し合わせたように連れ立って会社を出て行った。 もしかして、来ないとか? まさか、それはないよね……。 もし、誰も来なかったら、流石のわたしも凹んでしまう。 「それで」 「うん?」 「西森さんの結婚される方って、どんな方なんですか?」 「…………」 これには、わたしも戸惑ってしまった。 本当に何も知らないんだ。 「……すみません。プライベートなことを聞いてしまって。言いたくなければ、結構です」 「ごめんね。会社関係の人だから、ちょっと……」 そう答えると、「ああ」と納得したように頷く香坂くん。
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