第5章

30/68
前へ
/186ページ
次へ
      簡単な挨拶と乾杯で始った送別会は、どちらかと言えば食事会のような雰囲気だった。 お座敷じゃない分、席の移動もないから、女子社員の嫌味も聞こえてこない。 これなら、嫌な思いもしなくて済みそうだ。 …………。 だから、レストランを選んでくれたの? そう思うと、なんだか申し訳ない気持ちになるけれど……。 社長は、わたしと少し離れた席についていた。 その隣には、ちゃっかり真央ちゃんが座っている。 なんだか楽しそうに、顔を近づけて話し込んでいて……。 ……イヤだな。 何を話しているんだろう。 気になるけれど、そんな素振りを見せないように、ワインを口に運ぶ。
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4432人が本棚に入れています
本棚に追加