第5章

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   「これ、香坂くんが?」 「はい。よかったらどうぞ」 小皿には、カプレーゼやマグロとアボカドのサラダ、鯛のカルパッチョ、生ハムとイチジクが彩りよく盛り付けされていた。 「ありがとう」 香坂くんって、ソツが無く何でも出来るんだなと妙に感心してしまう。 そんなことを考えていると、不意に香坂くんが声を潜めて囁いた。 「西森さんの恋人は、社長だったんですね?」 「えっ?どうして?」 「見ていれば、わかりますよ。もしかして、暗い顔をしていたのは、彼女が原因ですか?」 そう言って、真央ちゃんをチラリと見る。 「う、うん、まぁ。そんな感じ……」 隠しても無駄だと思って正直に答えると、香坂くんはわたしを見詰めて、ニコリと微笑んだ。
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