第5章

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      「ちょっと食べ過ぎたかも……」 これもそれも、香坂くんのせいだ。 料理がテーブルに届く度、小皿に取り分けてくれる香坂くん。 これも一つの才能なのか、毎回とても美しく小皿に盛り付けてくれて。 その結果、つい食べ過ぎてしまって、わたしのお腹はもう限界に近かった。 「デザートはどうします?」 香坂くんは、クスクスと笑いながら、わたしを横目で見る。 その目、ちょっとバカにしてるでしょ? 唇を尖らせて「デザートは別腹なの」と言うと、口元を押さえて笑い出した。 「……笑いすぎじゃない?」 「すみません。西森さんって、年上なのに意外と可愛いなと思って……アハハ」 「香坂くん!」 ギロリと睨むと、 「この辺で止めておかないと、あとで社長に叱られそうです」と目配せをする。 「ん?」 と思いつつ、社長の方に視線を走らせると、ムッとした表情の社長と目が合った。
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