第1章

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  「俺と結婚してみない?」 たった今、わたしの目の前の上司、伊原雅史はそう言った。 外出中、空いた時間でのランチ。 わたしはパスタを巻き付けたフォークをそのままに、固まってしまった。 勿論、アルコールは飲んでいない。 何か意図があってのことかと考えてみても、結局わからずにわたしはこう答えた。 「社長、面白い事を言いますね。全然笑えませんけど」 そりゃそうだ。 なぜならわたしは、社長こと伊原雅史の友人、高谷祐輔の元恋人で、別れた今でも彼を想っているのだから。 それを一番良く知っている人が、冗談以外に何があるって言うの? あぁ、もしかして……
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