第1章

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   「社長、もしかして、わたしのことをクビにしたいんですか?」 それならそうと、ストレートに言って欲しい。 こんな回りくどい言い方しなくたって……。 「亜矢は見た目と中身のギャップが魅力的だよね」 少しだけ目を細めて、柔らかく笑う。 会社では決して見ることのない、この社長の笑顔は世の女性には魅力的に映るのだろう。 とは言っても、わたしはまったく興味が湧かないけれど。 「社員が近くに居ないからって、名前で呼ぶの止めて下さい」 そう言うと、表情が一変して本来の社長の顔に戻る。 わたしはこちらの顔の方が好き。 この伊原に限らず、出来る男は好きだ。
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