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わたし、西森亜矢が市内に多数の飲食店を経営している伊原の元で働く事になったのは、昔の恋人、高谷祐輔に紹介されたからだ。
高谷は商社で働いていた頃の上司だった。
海外支社から戻った高谷が既婚者だと知っていたにも関わらず、わたしは自分の気持ちを抑えることが出来なかった。
高谷が別居したと知ると、その心の隙に忍び込むように関係をスタートさせた。
やがて、わたしとの不倫が決定的な原因となり高谷は離婚した。
今思えば、恋人なんて言える関係じゃなかったように思う。
わたしの一方的な想いばかりで、高谷には愛されていなかったのだから。
ただ高谷の傍に、いたかった。
それが、望まれていないとしても。
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