第2章

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   つくづく物好きな人だと思う。 わたしじゃなくても、きっと素敵な女性は社長のまわりに沢山いるのに。 「わたしのこと、本当に好きなのかな?」 カッコつけて、俺じゃなくてもいいから、なんて。 「フフフ、変な人」 社長のことを考えると、シャンパングラスを片手に泣きながら笑っていた。 翌朝、目が醒めると、お酒で顔は浮腫んでいたけれど、気持ちはすっきりしていた。 鏡に映った自分の不細工な顔に苦笑いをしながら、冷たい水で顔を洗う。 少し引き締まったところで、よしと決意を固める。 罪滅ぼしじゃないけれど、高谷さんに連絡をしようと思う。 別れてから、一度も連絡をしなかったのは、拒絶されるのが怖かったから。 でも、今はそんなことはどうでもいい。 こんな心境の変化に自分でも驚きながら、晴れやかな気分になっていた。
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