第1章

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    けれど、それは叶わなかった。 高谷に伊原の秘書にならないかと言われた時はショックだった。 わたしと距離を置きたいのだと察したから。 伊原の秘書を務めて二年。この仕事は気に入っている。 秘書とは名ばかりで、殆ど雑用みたいな仕事だけど、出来る上司の下で働くのは刺激があって面白い。 でも、いつからだろう。 社長がわたしの事を、名前で呼ぶようになったのは。 社長に女の影がまったく無いわけではない。 なのに、長続きしないのか、恋人と呼べる女性は居ないようだった。 だからと言って、なぜわたしで、なぜ結婚なのだろう。
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