大漁旗を振りかざせっ!

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「大丈夫か? 小清水(こしみず)」 「うっす! 任せて下さいっ!」  幸い観客は角田先輩のポージングに拍手喝采で、脇に担ぎ下げられた祐介には気付いていない。 「社長には……」 「俺から説明しておく」  惣菜部、蝶野真澄(ちょうの・ますみ)マネージャーが頷く。強面だが頼りになる男だ。 「お願いしますっ!」  俺は祐介を背負うと医務室へと急いだ。  ◆◆◆  ここはいつもいい香りがする。 「軽い脳震とうだと思うけど、目が覚めたら念の為に病院に連れて行くわね」 「お願いします」  非常勤医師の三沢梓(みさわ・あずさ)女史は、さらさらとカルテを書き上げた。  淡いベージュのノースリーブシャツに黒のタイトスカート、真っ赤なピンヒールに白衣。その上、銀縁眼鏡なんて……鉄板じゃないかっ! 「なぁに?」  すいっと綺麗な指先で、眼鏡を半分ずらす。アップにしている栗色の髪が放つ色気もハンパないっ!  ヤバイ……今、俺、パンツ一丁っすっ!
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