■プロローグ

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詩「うへー……」 学園からさらに頂上へ向かって山を登る。 道は舗装されているが、傾斜は決して楽じゃない。 ……けたたましく響く蝉の声に近付いていく。 影は短くなり、陽は真上から脳天を灼く。 詩「……気温37度だって」 心「わ、わざわざ調べて口に出さなくていいわよ……」 詩「あ。あの民家の屋根の下で休憩しよ……?」 心「勝手に入っちゃ駄目でしょ。許可を貰わないと」 詩「あぁ、そうだねぇ」 阿「こらこら。学園出て5分で休憩しようとすんな」 詩「もー。なんで私達が連れ出されてるの? 学生会の仕事ならそっちで処理してよ」 阿「学生会の会長と役員2人が夏風邪で倒れてて、今人手不足なのよ」 心「それで私達に手伝わせようと」 阿「ええ。どうせ暇なんでしょ」 詩「けー。そんなの阿美ちん1人で、ささってできるでしょ」 阿「展望台は結構広いのよ。私をどんだけ体力のある人間だと思ってんのよ」 詩「そうか。そうだよね。阿美ちん今日はアミノ酸が足りてないから、いつもの30%しか力出ないんだよね」 阿「……もうそのネタはいいわ」 ………………。 心「展望台が見えたわ」 詩「はぁ……、やっと着いた?」 心「ベンチと木陰があるみたい」 詩「早く休憩しよ……」 阿「詩、あんたは本当に体力ないわね……」 山の頂上。名前は……確か、宝白山(ほうじろやま)っていったかな。 まぁ、山の名前なんてどうでもいいけど。 上まで登ったって、なーんにもないしね。 だから私も心ちゃんも、ここに来るのは久し振り。
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