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詩「うへー……」
学園からさらに頂上へ向かって山を登る。
道は舗装されているが、傾斜は決して楽じゃない。
……けたたましく響く蝉の声に近付いていく。
影は短くなり、陽は真上から脳天を灼く。
詩「……気温37度だって」
心「わ、わざわざ調べて口に出さなくていいわよ……」
詩「あ。あの民家の屋根の下で休憩しよ……?」
心「勝手に入っちゃ駄目でしょ。許可を貰わないと」
詩「あぁ、そうだねぇ」
阿「こらこら。学園出て5分で休憩しようとすんな」
詩「もー。なんで私達が連れ出されてるの? 学生会の仕事ならそっちで処理してよ」
阿「学生会の会長と役員2人が夏風邪で倒れてて、今人手不足なのよ」
心「それで私達に手伝わせようと」
阿「ええ。どうせ暇なんでしょ」
詩「けー。そんなの阿美ちん1人で、ささってできるでしょ」
阿「展望台は結構広いのよ。私をどんだけ体力のある人間だと思ってんのよ」
詩「そうか。そうだよね。阿美ちん今日はアミノ酸が足りてないから、いつもの30%しか力出ないんだよね」
阿「……もうそのネタはいいわ」
………………。
心「展望台が見えたわ」
詩「はぁ……、やっと着いた?」
心「ベンチと木陰があるみたい」
詩「早く休憩しよ……」
阿「詩、あんたは本当に体力ないわね……」
山の頂上。名前は……確か、宝白山(ほうじろやま)っていったかな。
まぁ、山の名前なんてどうでもいいけど。
上まで登ったって、なーんにもないしね。
だから私も心ちゃんも、ここに来るのは久し振り。
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