■プロローグ

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阿「げっ。またあいつ……」 心「どうかしたから?」 展望台には先客がいた。 学園の制服を着ている男子。展望台からの景色をカメラで撮っているように見える。 阿美さんはその姿を見つけるなり、気まずそうに顔をしかめていた。 阿「じゃ、じゃあ2人とも。後は任せたわね。私は急用を思い出したから」 心「え。ちょっとっ」 阿「あはは。また後でね」 心「…………」 そしてそのまま、山を降りていってしまった。 心「置いてかれたわね」 詩「……置いてかれたね」 心「追うのも疲れるし。とりあえず休もうかしら」 詩「そうだね……」 ……。 展望台。 山の中に突如現れる人工の地面。 崖に突き出すように欄干があり、ここから叶井町を一望できる。 教室一面分ほどのそのコンクリートの床は、そのほとんどが、風が木枝からはたき落としたのであろう、緑の葉で一面覆われていた。 心「なるほど……結構な散らかりようね」 詩「はぁ……。疲れた」 私達はそんな展望台の端に並べられていたベンチに腰掛ける。 ?「お。珍しいな。こんな所に人が来るなんて。観光目的じゃねぇよな。それウチの制服だし」 心「ええ。掃除しに来たの」 ?「……なぁ、柴門って人知らね? 学生会副会長の。今日ここに来るって聞いたから、待ってんだけど」 心「彼女なら私達と一緒に来たわ。ついさっき降りていったけど」 ?「なに? それを早くいえよ!」 彼女が目的だったらしく、その男子も阿美さんを追うように山を降りていってしまった。 心「何だったのかしら」
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