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心「ん。あれは……何かしら」
ドリンクを飲み終え。
ふと、周りの景色を見ていた心ちゃんが何かに気付く。
詩「屋根?」
心「家かしら。それもそこそこ大きな、洋風の建物ね」
逸れてきた道の更に向こう。
山奥の方に、レンガの色らしき赤茶けた屋根のようなものが、木々の隙間から僅かに顔を出していた。
詩「……あんな所に人、住んでたっけ?」
心「いいえ。地図にも施設か何か載ってた記憶は無いわ。電線も通ってないし……」
頭だけ見える、何か大きな建物。
距離はさほど遠くはなさそうだ。
詩「………………」
心「……詩?」
不気味だ。廃墟なのかもしれない。
あの下には、得体の知れない動物や虫が棲み着いているかも知れない。ちょっと怖い。
でも何だろう。私は、あそこに行かなければいけなかった気がする…………。
心「詩? ちょっと、詩?」
詩「……え」
心「どうしたの。急に黙り込んで」
詩「う……うん」
心「帰るわよ。学園に。箒、返さないと」
詩「ま、待って。ちょっとだけ、見てかない? あの建物」
心「なに言ってるの。不気味だし、私は御免だわ」
詩「……そう。じゃあ、私1人で行くよ。心ちゃん、悪いけど先に学園に行っといて。すぐに戻るから」
心「え、ちょっと! ……仕方ないわね」
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