■プロローグ

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心「ん。あれは……何かしら」 ドリンクを飲み終え。 ふと、周りの景色を見ていた心ちゃんが何かに気付く。 詩「屋根?」 心「家かしら。それもそこそこ大きな、洋風の建物ね」 逸れてきた道の更に向こう。 山奥の方に、レンガの色らしき赤茶けた屋根のようなものが、木々の隙間から僅かに顔を出していた。 詩「……あんな所に人、住んでたっけ?」 心「いいえ。地図にも施設か何か載ってた記憶は無いわ。電線も通ってないし……」 頭だけ見える、何か大きな建物。 距離はさほど遠くはなさそうだ。 詩「………………」 心「……詩?」 不気味だ。廃墟なのかもしれない。 あの下には、得体の知れない動物や虫が棲み着いているかも知れない。ちょっと怖い。 でも何だろう。私は、あそこに行かなければいけなかった気がする…………。 心「詩? ちょっと、詩?」 詩「……え」 心「どうしたの。急に黙り込んで」 詩「う……うん」 心「帰るわよ。学園に。箒、返さないと」 詩「ま、待って。ちょっとだけ、見てかない? あの建物」 心「なに言ってるの。不気味だし、私は御免だわ」 詩「……そう。じゃあ、私1人で行くよ。心ちゃん、悪いけど先に学園に行っといて。すぐに戻るから」 心「え、ちょっと! ……仕方ないわね」
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