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詩「……ごめんね。ついて来てもらって」
心「詩を1人にさせられないもの」
結局、心ちゃんと2人で謎の建物を目指すことに。
……薄暗い山道を歩くこと、10分。
怪しい看板や鍵のかかった金網があるわけでもなく。
脇道に逸れたり獣道に入る事もなく。
道なりに進んでいくと、それはごく当たり前のように、道の傍に一つぽつんと建っていた。
心「館……?」
館だ。大きな。
窓の数からして、3階建ての、レンガ造りの洋風の館。
壁面には所々にひびがあり、かなりの年数が経過しているように思える。
心「詩?」
私は徐に玄関扉へ近付くと、ドアノブに手をかける。
心「ダメよ、勝手に入ろうとしちゃ。人が住んでるかもしれないんだし」
詩「……ううん。大丈夫だよ。ここ、私の知ってる場所だから」
心「え?」
私は少しずつ思い出していた。
……そう。この建物は……あの、夢の中で見たやつだ。
扉に鍵はかかっていなかった。
私は、そのまま中へ足を踏み入れる。
心「詩? いいの、本当に入って?」
詩「うん……」
まず目に入ったのは、アンティークなツボや家具や絵画が出迎える広間。
その奥から廊下が延び、幾つもの部屋の扉へ繋がっているのが確認できる。
心「靴は……ああ、そうか、脱がなくて良いのね」
詩「……こっち」
誰かに呼ばれている……。ふとそんな気がして、廊下に並ぶ一つの、声が聞こえてくる部屋に入る。
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