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詩「…………」
客間だろうか。数人掛けのソファーとそれに見合う大きさのテーブルが配置されているだけの部屋。
奥には何故か火が点けられたままの暖炉が。
明らかに人のいる気配がする。
心「なんだか不思議……。外はあんなに暑かったのに、館の中は涼しいわね。空調設備も無いみたいだけど。……ねぇ、詩」
詩「え」
心「ここは何なの。誰かいるの? 私も勝手に入って来ちゃったけど」
詩「……分からない」
心「はぁ? どういうこと。知ってるって言ったじゃない」
詩「夢の中で見たんだよ。この場所。この部屋も、入り口の広間も……夢と、全く同じ」
心「夢?」
?「……待っていたわ」
暫く部屋の様子を観察していると、入ってきた扉とは別の扉が開き、同時にそんな声が聞こえた。
心「あ、あなたはこの建物の管理者の方ですか? すいません、勝手にお邪魔してしまって……」
?「構わないわ。詩さんと一緒ならね」
声の正体は、腰まで長い髪の女の人。
首からさげた飛行機のロゴの入った金色のペンダントが特徴的な、清楚で優しそうな雰囲気の若いお姉さんだった。
彼女は笑みを浮かべながら、私達の元へと寄ってくる。
心「詩とは知り合いなんですか? 待っていたとは、どういう?」
?「彼女をこの館に招いたのは私よ。……いらっしゃい。詩さん」
詩「う、うん」
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