■プロローグ

15/16
前へ
/47ページ
次へ
詩「…………」 客間だろうか。数人掛けのソファーとそれに見合う大きさのテーブルが配置されているだけの部屋。 奥には何故か火が点けられたままの暖炉が。 明らかに人のいる気配がする。 心「なんだか不思議……。外はあんなに暑かったのに、館の中は涼しいわね。空調設備も無いみたいだけど。……ねぇ、詩」 詩「え」 心「ここは何なの。誰かいるの? 私も勝手に入って来ちゃったけど」 詩「……分からない」 心「はぁ? どういうこと。知ってるって言ったじゃない」 詩「夢の中で見たんだよ。この場所。この部屋も、入り口の広間も……夢と、全く同じ」 心「夢?」 ?「……待っていたわ」 暫く部屋の様子を観察していると、入ってきた扉とは別の扉が開き、同時にそんな声が聞こえた。 心「あ、あなたはこの建物の管理者の方ですか? すいません、勝手にお邪魔してしまって……」 ?「構わないわ。詩さんと一緒ならね」 声の正体は、腰まで長い髪の女の人。 首からさげた飛行機のロゴの入った金色のペンダントが特徴的な、清楚で優しそうな雰囲気の若いお姉さんだった。 彼女は笑みを浮かべながら、私達の元へと寄ってくる。 心「詩とは知り合いなんですか? 待っていたとは、どういう?」 ?「彼女をこの館に招いたのは私よ。……いらっしゃい。詩さん」 詩「う、うん」
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加