■プロローグ

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?「はぁ~、めんどくさ……」 何でこんなものがあるのか。 何でこんな事をする必要があるのか。 私にはそれらの意味が分からない。 学園側の意図は理解できる。 この長期休暇中にだらけないよう、自らの予定管理をしっかりやれだとか、文章を書く練習をしろだとか。 そんな意味があるのだろう。教師たちの立場としても、学生にそれを強いることが別におかしい事だとは思わない。 ただ、それはあちら側の話。 学生の私にとっては、ただただ嫌。毎日のこの時間が。 こんな作業を好む人間なんてきっと少ない。 それは学生会長レベルの、頭も生活も異常にきっちりしている者たちだけだ。 少なくとも、休暇中は毎日のようにエアコンの利いた部屋でだらけてアイスを頬張り、ベッドに寝ころんではネットショッピングに勤しみ、背中を丸めてマ○オカートばっかりで遊んでいる私に、それは当てはまらない。 どうしようもなくだらけ放題の私には苦痛でしかない。 ?「でも、今日の分は今日やっちゃわないと、明日が大変だし……」 毎年こんな調子。 だから私は決めたのだ。 夏休みに入る直前。今年こそは、“滞納”などしないと。 それはよくある、後になって結局失敗に終わるパターンの決意。 ……だがしかし。今年の私は、なんとか今日までいい感じでキテる。 1日もさぼったりしていない。いくら嫌でも苦しくても面倒でも嫌でも、毎日コレを続けてきた。 面倒くさがりで、未だに折り紙の鶴の折り方すら覚えてない私が。 朝食の用意が面倒だからって、人にお弁当を作らせる私が。 凄い成長だ。 そろそろ道で札束を拾わせて貰えるぐらいの神の恩恵があってもいいだろう。 そんな経緯もある訳で、今日も踏ん張りをきかせる。 途中で投げ出し、今までの努力が水の泡にならぬよう。
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