■プロローグ

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?「終わった~~っ」 そそくさとペンをペンケースにしまう。 開いていた日記を閉じ、私は高さをつけてベッドに半回転グダイブ。 ?「あうっ」 勢いで壁に右手をぶつける。 でも痛みは開放感補正により数秒で回復。 何はともあれ、今日の私の仕事はこれで終わった。 あの忌まわしき、日記とかいう課題から開放された。 ?「寝よ寝よ……」 深夜2時。 疲れきった脳はもう動かない。 脳の疲れは全身に周り、まるで麻酔にかかったように意識を奪う。 私はそのまま眠りに落ちていった。 …………夢を見る。 見たこともない建物の前にいる。 それは洋風感漂うレンガ造りの、いわゆる館と呼ばれるもののよう。気付いた時にはそれが目前にあったという状況。 私はためらいもせずにドアノブに手をかけると、扉を開き中へと足を踏み入れる。 ……アンティークなツボや家具や絵画が出迎える広間。 その端から奥に廊下が延び、幾つもの部屋の扉へ繋がっているのが確認できる。 誰かに呼ばれている……。ふとそんな気がして、そのうちの一つ、声が聞こえてくる部屋へと入る。 客間だろうか。そこは数人掛けのソファーとそれに見合う大きさのテーブルが置かれているだけの部屋。 ……そこで思い出す。私は昨日もこの夢を見た。 昨日だけじゃない。一昨日も、その前の日もだ。 同じ夢を、何度も繰り返し見ている。 そして……私は何をしているんだろう。そう疑問を感じた瞬間、それまでの思考は何処かへ行き、朝を迎える。
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